「散善義問答」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:24時点における最新版
さんぜんぎもんどう/散善義問答
隆寛撰。撰述年は、建保五年(一二一七)であり、承久二年(一二二〇)に再治される。隆寛撰述の『弥陀本願義』の奥書には『観経疏問答』という書物があったと記されるが、本書はその散善義の部分とみられる。現存の写本には下品段がぬけており、他にも欠落箇所も多いが、『具三心義』と同様に、他力を強調した教説がみえ、三願転入、臨終業成についての記述がある。また他力回向についての解釈を思択する最中に奇瑞が現れたという記述など、他書にない興味深い点もみえる。現存する金沢文庫蔵の写本は、隆寛の高弟智慶が六波羅蜜寺の生願房のもとで隆寛の真筆本を書写したものである。
【所収】『隆寛律師の浄土教 附遺文集』、『隆寛律師全集』二
【参考】塚本善隆「金沢文庫所蔵の長楽寺隆寛派の新資料」(『顕真学報』一四、一九三四)、平井正戒『隆寛律師の浄土教』(国書刊行会、一九八四)
【執筆者:伊藤茂樹】