「帰依」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:22時点における最新版
きえ/帰依
優れたもの、正しいものに自己の心身を投げ出して、すべてを任せること。自らを任せることのできる対象を信じて拠り所とすること。そこから、仏教では信仰の表明の意味で広く用いられる。帰命と表現される場合もある。インド仏教の初期的な段階から、仏教に対して信仰を表明する手段として「三帰依」が必要とされたことが記されている。三帰依とは、仏・法・僧に帰依することであり、パーリ文では、ⓅBuddhaṃ saraṇaṃ gacchāmi(ブッダン・サラナン・ガッチャーミ:わたしは仏に帰依いたします)、ⓅDhammaṃ saraṇaṃ gacchāmi(ダンマン・サラナン・ガッチャーミ:わたしは法〔教え〕に帰依いたします)、ⓅSaṃghaṃ saraṇaṃ gacchāmi(サンガン・サラナン・ガッチャーミ:わたしは僧〔教団〕に帰依いたします)とされる。この言葉を三度口に出して唱えることで、正式に仏教の信者(優婆塞・優婆夷)として認められることになるのであり、信者であるかないかは、三帰依を言葉に出して表明したかどうかによるものとされる。最初期の仏教においては、三帰依のみで信者となることができたが、その後、五戒(不殺生、不偸盗、不邪婬、不妄語、不飲酒)を守ることを宣言することも必要とされるようになり、三帰依と五戒による形式が成立することになる。この形式は、インド仏教以来、中国や日本の仏教においても変わることなく伝承され、今日でも三帰依の表明が仏教を信仰するかどうかを示す根拠とされている。
【執筆者:山極伸之】