「烏帽子」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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えぼし/烏帽子
成人男性が貴賤の区別なく日常生活で被った帽子の総称。平絹や羅・紗などの素材を黒く染めて縫い合わせ、薄く漆を塗ったものが主流であり、武家社会では成人儀礼である元服の際、有力者を烏帽子親にたてて烏帽子を冠してもらう風習が一般的であった。また子供には額烏帽子が用意されたが、これは頭頂部を他人に見せるのを恥辱としたためとされる。室町時代以降、素材は硬化していくが、中世末以降に前額部を剃りあげる月代が流行するにつれ廃れていった。『四十八巻伝』二一によると、法然は「我はこれ、烏帽子も着ざる男なり。十悪の法然房、愚痴の法然房が、念仏して往生せんと言うなり」(聖典六・二八〇)と自己を評し、凡夫の念仏往生について述べている。
【資料】『西宗要』四
【執筆者:笹田教彰】