「善導寺御消息」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:28時点における最新版
ぜんどうじごしょうそく/善導寺御消息
一紙。安貞二年(一二二八)一一月、諸国修行の者から法然の念仏往生の教えはどのようなものであったのかと問われた聖光が、それに答える形で『一枚起請文』の内容を紹介したもので、聖光系『一枚起請文』ともいうべきもの。『一枚起請文』の内容が、法然臨終間際に源智のみに授けられたのではなく、生前に広く弟子たちに伝えられていたことを示唆する。ただし、源智系『一枚起請文』で「この外に奥深き事を存ぜば、二尊の御愍に外れ本願に漏れそうろうべし」(『和語灯録』一「御誓言の書」聖典四・二九九)とある法然による「誓言」「起請」の言葉が無く、「ナモアミタ仏ヲマウスハ決定シテ往生スル事ナリト」(昭法全四三四)となっている点、および、法然ではなく聖光自身による「誓言」「起請」の言葉が付されている点が相違する。写本は現在、徳富蘇峰氏旧蔵本・清浄華院所蔵本・安土浄厳院所蔵本の三本が確認されており、また『和語灯録』五「諸人伝説の詞」にも同系統の法語が見えるが、「善導寺御消息」の題目が付されているのは浄厳院本のみである。
【所収】昭法全
【参考】中野正明「『善導寺御消息』諸本の問題点について」(『日本仏教史学』二三、一九八九)、安達俊英「法然『一枚起請文』の文献的性格」(『佛教大学総合研究所紀要別冊 浄土教典籍の研究』、二〇〇六)
【参照項目】➡一枚起請文
【執筆者:坪井剛】