顧阿弥陀
提供: 新纂浄土宗大辞典
みかえりあみだ/顧阿弥陀
来迎印を結んだ立像形式であらわされることが多く、面部を正面ではなく左後方に向ける阿弥陀仏をいう。京都市禅林寺像(国重要文化財)が著名で、永観が阿弥陀像の周囲を行道していたとき、阿弥陀像が須弥壇から降りて振り返り「永観おそし」と呼んだという伝承を有している。平安時代中期以降、阿弥陀来迎図が多く作成されるが、その一種に阿弥陀仏が往生人を浄土へ引接する様を描いた帰来迎図があり、そこにあらわされた阿弥陀仏には後方を見る姿を呈したものもある。顧阿弥陀は、その姿を動的に造形化したものと考えられる。
【参考】光森正士「阿弥陀仏の造像」(奈良国立博物館編『阿弥陀仏彫像』東京美術、一九七五)【図版】巻末付録
【執筆者:藤田直信】