欲を離れた尊きもの、すなわち法のこと。この語は特に三帰について用いられる語である。すなわち三帰のうち法に対する帰依を「帰依法離欲尊」と言って表す。ここにいう帰依すべき法とは、涅槃のこととされる。例えば『俱舎論』には「帰依法とは、謂わく、涅槃に帰するなり」(正蔵二九・七六下)と説かれている。涅槃とは、あらゆる欲望や苦しみといったものを離れた尊い境地であるから、離欲尊の名にふさわしい法であるといえよう。
【参照項目】➡三帰依、三帰三竟
【執筆者:石田一裕】