阿弥陀三昧海経
提供: 新纂浄土宗大辞典
あみださんまいかいきょう/阿弥陀三昧海経
一巻。九〇〇字に満たない短い経典であり、経題の下に「宋元嘉中畺良耶舎訳」とあるが、本文の和臭語法から中世の日本で撰述された偽経典であることは明らかである。その内容は、阿弥陀仏の名を称えることにより三毒が消除され、仏果を得て不退転に住することができ、また亡者のために念仏すれば地獄すらも破することができると説く。念仏は最下の凡夫のための法門でありその一声の功徳は大きく、法滅以後でも念仏の教えは世間に留まるという。また、称名には一〇種の徳があることや、念仏を誹謗する者の堕獄を説く。なお経題にある「阿弥陀三昧」は称名念仏三昧を意味する。
【所収・参考】牧田諦亮『疑経研究』(京都大学人文科学研究所、一九七六)
【執筆者:齊藤隆信】