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遠州大念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

えんしゅうだいねんぶつ/遠州大念仏

静岡県浜松市を中心として盆の時期に行われる法会で、新盆を迎える家からの依頼を受け供養を行う。一行は、飾提灯かざりちょうちんを先頭に笛、太鼓、鉦の音にあわせ行進し、新盆の家の庭に着くと太鼓を中心とし両側に双盤を置き、音頭取りにあわせて念仏や歌枕を唱和し、また太鼓を打ち鳴らして死者の供養を行う。起源は諸説あり、徳川家康が、武田信玄の軍と戦った三方みかたはら合戦におけるさいがけの戦死者を供養するために修したという説、遠州堀江の館山蓮花寺を開創した弾誓たんぜい三方ヶ原合戦での死者の怨霊を鎮めるために始めたという説、村人が雨乞いのために始めたという説などがある。江戸時代には遠州地方のほとんどの地域で行われたが、念仏組間の口論や喧嘩も起こったため、「喧嘩念仏」とも呼ばれ取締禁止令が出たほどであった。昭和五年(一九三〇)に各村落の念仏組の連合組織として、発祥の地である犀ヶ崖の宗円堂において遠州大念仏団(現在の遠州大念仏保存会)が組織され、現在では約七〇の組が所属している。


【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)、『静岡県史 資料編二五 民俗三』(静岡県、一九九一)


【執筆者:名和清隆】