道心義
提供: 新纂浄土宗大辞典
どうしんぎ/道心義
法然門下の異流の一つで、浄土十五流中の一派。蓮華谷義とも称す。聖聡の作と伝えられる『浄土三国仏祖伝集』下には、法然からの正義を相承している「浄土宗」、すなわち聖光の鎮西流や証空の西山流等に対し、専修念仏の名を借りた私流義である「念仏衆」として一五流を挙げている。その一つが「明遍の道心義」で、「高野山の明遍僧都、道心義を立て道心衆と号す(今世の高野聖これなり)」(続浄一七・三三〇上)とある。明遍は南都系の念仏者で、高野山蓮華谷に隠棲し、後世、高野聖の祖とされた。中世の高野聖は活発に諸国を回遊しており、道心義・道心衆はこうした高野聖たちを指した呼称と考えられる。
【参考】五来重『増補 高野聖』(角川学芸出版、一九七五)
【執筆者:吉田淳雄】