一巻。宋・張商英撰。韓退之や欧陽修等の仏教排斥思想に対して、儒仏道三教の優劣を比較し、三教のうちで仏教が最も深奥な教えであることを述べたもの。大蔵経の素晴らしさを妬んで無仏論を書こうとした張商英が、妻の向氏の勧めで『維摩経』を読み、深く仏教に帰依して後に著した仏教擁護論。この撰述の経緯が、『四十八巻伝』四〇(聖典六・六二二)に、禅林寺静遍のとった『選択集』に対する態度と同様のものとして取り上げられている。
【所収】正蔵五二
【執筆者:吉水岳彦】