血垂れの御影
提供: 新纂浄土宗大辞典
ちたれのみえい/血垂れの御影
奈良県葛城市當麻・當麻寺奥院に所蔵される法然像。法然に帰依した武蔵国の御家人桑原左衛門入道が法然の姿をうつし自ら開眼したものと伝えられる。もと知恩院御影堂の本尊であったが、知恩院一二世普観が南北朝の戦乱から守るため『四十八巻伝』の副本とともに當麻寺に移したものである。あるとき、普観の夢に法然が現れ「今悪人が来て額に釘を打ち苦痛である」と告げて消えた。普観が御影を見ると夢告に違わず額に釘が打たれていたので抜きとると、肉身のように血が流れ出た。これより人びとはこの御影を「血垂れの御影」と呼んだという。尊像の額には今も小さな傷が残っている。
【資料】『当麻奥院略縁起』【図版】巻末付録
【参照項目】➡法然上人御影
【執筆者:成田俊治】