能忍
提供: 新纂浄土宗大辞典
のうにん/能忍
一二世紀頃、生没年不明。房号は大日房。平安・鎌倉時代に活躍した禅僧。達磨宗の開祖。若年に出家し、師を持たないまま自証独悟で、摂津国水田(大阪府吹田市)に三宝寺を開いた。相承のないことの批判をうけ、弟子の練中・勝弁を宋国に代行渡海させ、文治五年(一一八九)に拙庵徳光より嗣書を付与された。その後、京都への進出を計画したが、栄西の臨済宗とともに、布教を禁止された。栄西は『興禅護国論』の中で、能忍の戒行否定の姿勢を厳しく批判している。日蓮の『佐渡御書』では法然と共に批判されており、その宗風は大いに隆盛を極めたが、建久五年(一一九四)に甥であった平景清に刺殺されたと伝えられている。
【資料】『興禅護国論』、『佐渡御書』、『日本高僧伝』
【参照項目】➡達磨宗
【執筆者:東海林良昌】