総依一代別依三経
提供: 新纂浄土宗大辞典
そうえいちだいべってさんぎょう/総依一代別依三経
浄土宗においてよりどころとする経典は、総じては釈尊が一代にわたって説いたすべての経典であるが、その中でも特に重要な経典は、『無量寿経』『観経』『阿弥陀経』の「浄土三部経」であるとの意。総依一代別三経、総依一代別依三部経ともいう。聖冏『教相十八通』上では、仏教における宗に、経宗(真言・華厳などの経典を本にして立てられた宗)・論宗(俱舎・成実・法相・三論などの論師の見解を本に立てられた宗)・釈宗(天台宗のような師の解釈を本にして立てられた宗)があり、浄土宗は経宗に当たると述べている。その上で聖冏は「問う、三宗の中にはこれ経宗なり。若ししからば経の中に何れの経と云うべきや。答う。傍らには凡そ一代種々諸経を集め、総じて一百落叉部経有るに依る。若し翻訳将来の大乗経を指せば、六百三十七部二千八百八十三巻の経に依る。正には唯だこれ三部の大法に依るなり。故に大師の釈に此の観経・弥陀経・無量寿経等と云う」(浄全一二・七三六下)とし、善導の説に基づき、浄土宗では総じては釈迦一代の経典をよりどころとし、特に「浄土三部経」を重要視する旨を述べている。
【参考】『西宗要本末口伝鈔』(浄全一〇)、『三六通裏書』『教相十八通』上(共に浄全一二)
【執筆者:東海林良昌】