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私度僧

提供: 新纂浄土宗大辞典

しどそう/私度僧

古代律令国家において、官の許可なく僧となった者のこと。自度僧ともいう。課役を逃れることを目的に多くの農民が私度僧となったことから、養老年間(七一七—七二四)頃には僧俗の秩序を乱す行為として、僧尼令などによる弾圧の対象であった。しかし天平三年(七三一)に至ると、行基の率いる私度僧集団からの得度が条件付きで認められるなど、次第にその存在が容認されるに至る。『日本霊異記』の編纂者景戒けいかい(平安前期、生没年不明)ははじめ私度僧であったとされ、同書下巻三八話にその実態の一斑を窺うことができる。


【参考】辻善之助『日本仏教史』一(岩波書店、一九四四)、上川通夫「八世紀の私度僧をめぐって」(『立命館文学』四九〇—四九二合併号、一九八六)、吉田一彦『日本古代社会と仏教』(吉川弘文館、一九九五)


【執筆者:冨樫進】