熊野三山(本宮・新宮・那智)の三山十二社権現とその本地仏を描いた垂迹曼荼羅画。一一世紀頃から天皇や貴族らによる熊野参詣が行われ、やがて熊野三山に対する信仰が鎌倉時代から室町時代にかけて一般の人々にも浸透し参詣も盛んになったことから、多くの垂迹曼荼羅が制作された。描写の重点を神影像、本地仏、熊野三山の景観や社殿に置くものなどの諸形式がある。
【執筆者:工藤美和子】