この世の中、世間、世上、現実世界の意。そこに生活する人の身、人生のこともいう。仏教的には、移り変わり変化してやまない無常の世の中、との意になる。辛く苦しいことから「憂き世」とも書くが、近世、どうせはかないことなら楽しく浮かれて生きる世の中、つまり享楽的な浮世の世界という意味に転ずる。漢語の「浮世ふせい」は定めなき、はかない人生という意味であるが、もちろんこの語の影響も受けている。
【執筆者:勝崎裕彦】