浄土鎮流祖伝
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうどちんりゅうそでん/浄土鎮流祖伝
八巻。心阿撰。宝永元年(一七〇四)成立。表紙題箋は「本朝高僧伝」、序文は「浄土本朝高僧伝」、柱題は「鎮流祖伝」と付されていて各々の名称で呼ばれる場合がある。浄土宗鎮西流の祖師および門下の伝記を集めたもの。法然が元禄一〇年(一六九七)円光大師の諡号を賜り、略伝記が作られ顕彰されると、心阿は法然以下の鎮西流の祖師方の伝記集を編纂することを目指し、滋賀県松江称名寺でまとめた。第一巻にはまず善導をあげ法然が続き、第二巻には聖光・良忠・良暁・定慧・蓮勝・了実・聖冏・聖聡の八人をあげ、以上を鎮西十祖としている。第三巻は法然門下十傑と聖光門下、良忠門下、良暁門下、定慧門下をあげて鎮西の白旗派が次第しているが、略伝に長短があり、八四名は僧名のみをあげる。第四巻から第八巻までは江戸時代中心に一四一名の略伝を集め、全編で僧名のみを含め総計二七七名の僧に及ぶ。末尾に宗名志、四本山志、檀林志、九部志(九部の科目)、二読志(上読・下読法問)が付されている。
【所収】浄全一七
【執筆者:野村恒道】