じょうどほうもんどくりつし/浄土法門独立史
醍醐恵瑞著。大正六年(一九一七)一月、石塚正雲堂刊。鎌倉期の法然・親鸞の浄土宗・浄土真宗の立教開宗を浄土法門の独立と評価し、古今東西の宗教史において刮目すべき革新運動として意義を論じる。その内容は往生思想の二潮流として兜率往生・極楽往生を挙げ、印度・中国・日本へ展開する浄土教を俯瞰し、法然門下から一遍まで及ぶ。ただし、その論述は凝然の『源流章』に依拠し、昭和初頭の金沢文庫浄土教典籍公開以前のものであることに留意する必要がある。昭和一一年(一九三六)三月、東学社より再刊。『浄土仏教史論』(三星社、一九二四)として再版。
【執筆者:能島覚】