浄土決
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょうどけつ/浄土決
一巻。明末・李贄(一五二七—一六〇二)集。万暦二五年(一五九七)の成立。李贄は泉州普江(現・福建省)に生まれる。字は卓吾、温陵禅師とも号した。陽明学者でもある。本書は主に宗本の『帰元直指』を抜き書きしながら、諸師の説く天台唯心浄土の諸典籍の大意をまとめた書物である。自叙の他、伝智顗の『十疑論』、宋無為居士楊傑『浄土十疑論序』の次に「一心三観」「寿禅師勧修浄業」「行脚求師」「宗本答問」「三大聖人現身勧修浄土」「経論指帰浄土」「祖師指帰西方」「西方偈賛」「西方五請」「念仏八偈」が所収されている。その中、「一心三観」は温陵禅師、「寿禅師勧修浄業」では永明禅師の『万善同帰集』、「行脚求師」では『帰元直指』、「宗本答問」では宗本禅師の説示、「三大聖人現身勧修浄土」では『宋高僧伝』の慈愍三蔵や法照などの事跡、「経論指帰浄土」では経論の説示、「祖師指帰西方」では、六祖慧能・李卓吾・霊芝禅師・永明延寿・龍舒居士などの諸師の説示、「西方偈賛」では宗本禅師の偈賛それぞれを引用してまとめ、李贄の「西方五請」、「念仏八偈」が収録されている。
【所収】続蔵六一
【参考】望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九四二)
【執筆者:肖越】