決定心
提供: 新纂浄土宗大辞典
けつじょうしん/決定心
定まって動揺のない心のこと。とくに浄土教では阿弥陀仏の本願を深く信じる心、または必ず往生できると確信することを意味する。決定信、あるいは決定の信心ともいう。法然は「ただ口に南無阿弥陀仏と称えん声につきて決定往生の思いをなすべし。その決定の心をやがて深心とは名づくるなり。その深心を具しぬれば決定して往生するなり」(『大胡太郎実秀へつかわす御返事』聖典四・四〇〇/昭法全五一九)と、決定心とは決定往生の思いであり、深心のことでもあると述べている。また『選択集』八の深心釈では、善導『観経疏』の文を引用し、「決定の信相」(聖典三・一四三/昭法全三三〇)を明かすとして、たとえ高位の菩薩や阿羅漢、異学・異見の者に非難されたとしても、一切の疑念を持たず堅固な信心を確立すべきであると説いている。
【資料】『浄土宗略抄』(昭法全五九五)、「御消息」(昭法全五八一)
【参考】石井教道『選択集全講』(平楽寺書店、一九五九)
【執筆者:伊藤瑛梨】