梵網菩薩戒経
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぼんもうぼさつかいきょう/梵網菩薩戒経
『梵網経』下巻の別称。『菩薩戒経』ともいう。大乗の立場に基づく十重四十八軽戒を説き、後の菩薩戒思想に大きな影響を与えた。智顗が『菩薩戒義疏』に「梵網大本一百一十二巻六十一品。唯だ第十菩薩心地品を什師が誦出す。上下両巻。上に菩薩の階位を序し、下に菩薩戒法を明す。大本より出たる序及び流通を皆欠く。即ち別部を外し菩薩戒経と称す」(正蔵四〇・五六九中~下)と提示し鼓吹して以来、多くの注釈書が作られている。特に湛然の『授菩薩戒儀』(『十二門戒儀』)は円頓戒授受の基本として今日まで用いられている。
【所収】正蔵二四
【資料】智顗『菩薩戒義疏』(正蔵四〇)
【執筆者:渋谷康悦】