木蘭衣
提供: 新纂浄土宗大辞典
もくらんえ/木蘭衣
三種壊色(三種染壊)の袈裟の一つで、樹の皮などで茶色に染めた袈裟。茶衣ともいう。『仏本行経』二には木蘭を真の袈裟といい(正蔵四・七〇中)、この色は袈裟を代表する色である。大雲の『啓蒙随録』初編二に「中古以来律家にて階次を立て、青色と木蘭とは比丘の外は許さず。沙弥已下は袈裟褊衫共に浅黒なり。又比丘といえども十夏未満にては袈裟ばかり青木蘭を許し、褊衫は猶浅黒と定めたるもあり」(『明治仏教思想資料集成』二・二四三)と示される。江戸時代の檀林では伝宗伝戒以前の僧侶は用いることが許されなかった。現在、「木蘭衣」という呼称は本来意味する袈裟だけでなく、法衣を指し示すことも多くある。
【参照項目】➡壊色
【執筆者:大澤亮我】