念仏勧進の御影
提供: 新纂浄土宗大辞典
ねんぶつかんじんのみえい/念仏勧進の御影
高松法然寺蔵。法然が鉦鼓を首にかけ、撞木を右手に念仏行脚している珍しい姿の像。配流中の讃岐における法然の生活はわずか一年未満であったが、念仏行脚の旧跡は満濃町(香川県仲多度郡まんのう町)を中心に宇多津、丸亀、綾南など一六ヶ所に及び、また法然の教化伝承・伝説も十数話残されている。その一つが「滝宮の念仏踊」である。念仏踊りは滝宮神社、滝宮天満宮(いずれも香川県綾歌郡綾川町)に伝えられているもので、行基の開基伝承および菅原道真にその起源が求められる。のち法然がこの踊りに振り付けをし雨乞いが行われたとされ、この像はその雨乞いをする姿を模したものという。鉦鼓を打ち鳴らす「音」、念仏の「声」、踊りの「動作」の三つが鎮魂祈願の三要素であり、また鉦鼓は「鉦沈め」という雨乞いの一要素でもある。これらのことから、この御影は伝承にあわせて江戸時代に作られたものと推察される。【図版】巻末付録
【執筆者:成田俊治】