孝経
提供: 新纂浄土宗大辞典
こうきょう/孝経
中国の儒教の基本典籍である十三経の一つ。今文系のテキストでは全一八章、古文系のテキストでは全二三章。内容上には大きな差異はない。孔子と弟子の曽子との対話という形式をとるが、本当の作者は分からない。孝という家族愛、家族道徳を中心として、人間としての道徳的ありかたの完成を説く。生前には父母に仕えて孝養をつくし、その死後は祖先を同じくする宗廟で祭祀をすることが求められる。そのような父母をはじめとする祖先の崇拝には、一族の結束を強め、家族制度を維持するはたらきがある。『選択集』(聖典三・六八/浄全七・五六)ならびに『観無量寿経釈』(昭法全一一二/浄全九・三四六)に、本書についての言及がある。
【所収】栗原圭介『孝経』(『新釈漢文大系』三五、明治書院、一九八六)、加地伸行『孝経 全訳注』(講談社、二〇〇七)
【参考】桑原隲蔵『中国の孝道』(講談社、一九七七)
【執筆者:鵜飼光昌】