子璿
提供: 新纂浄土宗大辞典
しせん/子璿
宋・乾徳三年(九六五)—宝元元年(一〇三八)四月。本名を子元という。字は仲微、楞厳大師と号す。中国宋代の『首楞厳経』『華厳経』に深く通じた学僧。杭州銭唐に生まれる。霊光寺の洪敏に学ぶ。『首楞厳経』をよく研鑽し、講義すること三〇遍に及んだ。現存する著述には、『首楞厳経義疏注経』一〇巻、『起信論疏筆削記』二〇巻、『金剛般若経纂要刊定記』七巻等がある。著作中で浄土教についても触れており、念仏法門を娑婆における最要のものとする。また、西方浄土と十方浄土を比較し、十念で仏願力に乗じて往生できる西方浄土の方が往き易く、縁が強い故に勝れているとしている。
【参考】吉田剛「北宋代に於ける華厳興隆の経緯—華厳教学史に於ける長水子璿の位置づけ—」(『駒沢大学禅研究所年報』九、一九九八)
【執筆者:吉水岳彦】