四食
提供: 新纂浄土宗大辞典
しじき/四食
一
食はⓈāhāraの訳、肉体と精神を保ち続けるための条件のことを意味し、三界にあって肉身を養い保持する世間食を四種に分け四食と呼ぶ。これに対し、出世間の食に五種あり、合わせて九種食と称する。四種は①段食(色法を体とする飲食物)②触食(苦楽、寒暑等の感覚器官との接触によって作用するもの)③思食(意思の働き)④識食(精神の主体、前三者により身体や生命を維持発達させる)のこと。
【執筆者:南清隆】
二
出家者は乞食によってのみ食を得ることが正しく(正命食)、それ以外で食を得る生活法を邪命食として禁じる。この邪命食に次の四種があり、総称して四邪命食、略して四食という。①耕作や売薬等によって得る下口食、②天文や術数等の学問による仰口食、③権力や富豪におもねる方口食、④吉凶を占うことによる維口食のこと。
【資料】『大智度論』三
【執筆者:南清隆】