四苦八苦
提供: 新纂浄土宗大辞典
しくはっく/四苦八苦
人生の根本苦である生・老・病・死を「四苦」、これに愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五取蘊苦の四つを加えて「八苦」とし、この「四苦」と「八苦」を合わせて「四苦八苦」という。さて四苦の最初の生苦であるが、これは「生きる苦」ではなく「生まれる苦」を意味する。そして「生まれる」とは、「母胎からの出産」ではなく、「妊娠した瞬間(受精)」を指す。つまり、生苦とは、苦の領域である輪廻の中に再生すること自体を「苦」と捉えるのである。老苦・病苦・死苦は、肉体的苦痛もさることながら、精神的苦痛も強く感じられる。愛別離苦は愛する人と別れなければならない苦、怨憎会苦は怨み憎んでいる人と会わなければならない苦、求不得苦は求めるものが得られない苦、五取蘊苦は五蘊(一切法)に対する自己中心的な執着はすべて苦となるという意味で、前の七苦を総括する苦と言えよう。旧訳では「五盛陰苦」という。
【参照項目】➡苦
【執筆者:平岡聡】