吉水遺誓諺論
提供: 新纂浄土宗大辞典
よしみずゆいせいげんろん/吉水遺誓諺論
一巻。忍澂撰。宝永三年(一七〇六)作。忍澂が伊勢蓮華谷寅載の請いに応じて、『一枚起請文』を注釈し、主として異端邪説を排斥したもの。内容は他宗邪義の程を五重に分け、初重は概説、二重・三重・四重・五重と教説して述べている。次に本文を解釈するに当たり、三科に分類して、①遺誓②朱印③総結とし、①遺誓をまた五段に区分している。その中で第一段は、「もろこし我が朝」以下の注釈で、安心起行の極要を示して偽濫の邪義を防ぐ、第二段は、「唯往生極楽」以下の注釈で、願行相続の正義を示す、第三段は、「但三心四修」以下の注釈で、疑を通じ、奸を防ぐ、第四段は、「此外に奥深」以下の注釈で、誓いをたてて証を請う、第五段は、「念仏を信ぜん人」以下の注釈で、結勧としている。この中第一段は序分、二、三、四の三段は正宗分、第五段を流通分とする。本書は『一枚起請文』全体の主意を願行相続の一義とし、念仏の行者は願行具足の称名を相続し、一期不退に修行して、鎮西白旗の清流を汚すべきではないことを勧める書である。
【所収】浄全九
【参照項目】➡一枚起請諺論
【執筆者:瀧沢行彦】