去行の疑い
提供: 新纂浄土宗大辞典
こぎょうのうたがい/去行の疑い
浄土往生のために自らが実践する行に対して疑念を抱くこと。良心が『授手印決答受決鈔』下において「去行の疑いとは、業の成不を知らず。故に自らの去行を疑う」(浄全一〇・一〇八下)とあるのによる。良忠は『観経疏略鈔』において「十住論は去行を疑いて猶お往生すと見たり。今の釈又地観を修して往生を疑う人なり。これも去行を疑うなり」(浄全二・五三六下)と述べている。これは『十住毘婆沙論』五と『観経』の第三宝地観(地想観)に説く疑心往生の説明であり、行者自身が往生の行業の成就を確信することができず、それはその行業自体を疑うことによるものであることを示したものである。
【参照項目】➡二種疑心、疑心往生、疑心、疑城胎宮、所求・所帰・去行
【執筆者:長尾隆寛】