半自力半他力
提供: 新纂浄土宗大辞典
はんじりきはんたりき/半自力半他力
西山派東山義の顕性による称名念仏理解。南無を自力、阿弥陀仏を他力と解して、称名念仏に自力と他力が半々に介在するというもの。凝然『源流章』に「覚入の門人に見性大徳有り。…称名念仏は即ち半自力半他力にて成ず。南無の二字は是れ自力なるが故に。阿弥陀仏は即ち他力なるが故に」(正蔵八四・一九九下)とみえる。また行観『浄土法門大図名目』には「長門の顕性房は都にて半自力半他力を立つるはこの故なり。設い他力の本願を成せりとも、衆生領解の心無くんば叶うべからずと謂うを、半自力半他力と云うなり」(正蔵八三・五一九中)と記される。なお『総系譜』では長西の門弟、空寂について「…この人六字の名号において、南無の二字を以て自力と為し、阿弥陀仏を以て他力と為す。人称して半自力半他力義と云う」(浄全一九・一一三)と記されるが、顕性と空寂の関係は未詳。
【参照項目】➡顕性
【執筆者:上杉智英】