法然の徳を讃歎する回向文。「我本因地がほんいんじ 以念仏心いねんぶっしん 入無生忍にゅうむしょうにん 今於此界こんのうしかい 摂念仏人しょうねんぶつにん 帰於浄土きおじょうど」。これは『大仏頂首楞厳経』五(正蔵一九・一二八中)勢至円通の文で、法然は勢至菩薩の応現とされることから、その徳を讃えるためこの偈文を用いる(『四十八巻伝』八、聖典六・九〇)。増上寺の御忌では、「讃歎」と称して念仏一会、唱礼の後に長跪ちょうきしてこの偈文を唱える。
【参照項目】➡勢至円通
【執筆者:中野孝昭】