六煩悩
提供: 新纂浄土宗大辞典
ろくぼんのう/六煩悩
貪・瞋・慢・無明・見・疑の六つの煩悩のこと。六随眠とも言われる。『俱舎論』(正蔵二九・一〇九上)には、預流の聖者が断ち切った六つの煩悩、すなわち五見(身見・辺見・邪見・見取見・戒禁取見)と疑を六煩悩と説いているが、一般的に六煩悩といえば、上記の貪から疑の六つの煩悩をいう。煩悩には様々な異名があり、それとともに数多くの分類もある。例えば『瑜伽論』(正蔵三〇・三一四中~五上)には三縛・四繫・五蓋・九結などが示されている。そのなかでも最も一般的な分類法が、六随眠あるいは七随眠(六随眠から貪を有貪と欲貪に分けて七随眠とする)である。これらは阿含経典から説かれ、さらに説一切有部が煩悩の分類における基準として採用したことで、一般的になったと考えられる。
【執筆者:石田一裕】