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六字名号口伝

提供: 新纂浄土宗大辞典

ろくじみょうごうくでん/六字名号口伝

一巻。伝法然撰。六字名号利益について述べた書。異本に『法然上人御文』『円光大師御伝書』がある。『円光大師御伝書』の奥書によると、ある者が四国を訪れた際に法然真筆の書を発見し、書写して持ち帰ったという。それを、安永六年(一七七七)に隆円が書写したものが原本として想定される。また「円光大師」の表題を持つことから、江戸時代初期から中期にかけて成立したとみられ、隆円により流通したと考えられる。内容は、六字名号に多くの経典の利益が込められているなどの通仏教的理解や、世俗の倫理道徳や神祇等についても説かれていることから、法然の作とは考えられないが、成立の背景には神儒仏が相互に関係しあう、近世的宗教世界観があると推測される。


【所収】昭法全


【参考】東海林良昌「隆円書写『円光大師御伝書』について」(『仏教論叢』五二、二〇〇八)


【執筆者:東海林良昌】