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八十随形好

提供: 新纂浄土宗大辞典

はちじゅうずいぎょうこう/八十随形好

仏の身体に具わっている容貌や形相の中で、顕著な特徴である三十二相に付随した八〇種の優れた副次的特徴、吉相。八十種好、八十随好、八十微妙みみょう種好、八十小相ともいう。『婆沙論』一七七には八十種好について、「諸相の間にあり、諸相に随いて転じ仏身を荘厳して極めて妙好ならしむ」(正蔵二七・八八九上)とあり、『大般若経』五三一(正蔵七・七二六中~七中)によれば、「第一は仏の指の爪は狭長で薄く潤いがあり、光り輝いてきよらかである、…最後の第八〇は、手足および胸にはいずれも吉祥喜旋の相(卍字まんじ)がある(趣意)」としている。八十種好を具体的に記すものとして、『大品般若経』二四、『無上依経』下、『大智度論』八九、『瑜伽論』四九などがある。一般的には三十二相が顕著な特徴であるのに比べ、八十随形好は比較的小さな身体的特徴を表すが、三十二相と重複するものもある。仏等において三十二相の他に八十随形好が具わっているという概念が生まれたのはそれほど古い時代ではない。またその順序・名称・内容は経論により異なり一定しない。


【資料】『糅鈔』三九、『往生礼讃私記見聞』下、『徹選択集私志記』下


【参考】宇井伯寿「阿含に現れたる仏陀観」(『思想』六〇、一九二六)、岡田行弘「八十種好」(『〈我〉の思想 前田専学博士還暦記念論集』春秋社、一九九一)


【参照項目】➡三十二相


【執筆者:薊法明】