上読法問
提供: 新纂浄土宗大辞典
うわよみほうもん/上読法問
江戸時代の檀林における授業方法の一つ。下読法問の対。また、客殿方丈で行われたため客殿法問ともいう。下読法問は各檀林で行われていたが、上読法問は増上寺だけで行われた。上読とは、上位の者が下位の者に対して問題を読み上げることであり、法問とは宗義に関する問題を出して問答論義を行うことである。すなわち、檀林能化自らが所化に対して問題を提出し、所化がそれに答える形式である。出席できるのは、増上寺所化のうち、一文字席五〇人、扇間席三四人、縁輪席六六人の一五〇人である。上読法問が行われる時期と問題数に関しては、一夏(一定期間)中に一〇題を論義すべきことが浄土宗諸法度に規定されている。一夏は、春は二月一日から三月二九日まで、秋は八月一日から九月二七日までとされている。能化が質問する三席の学解試験という性質がある。
【資料】『増上寺文書』(『増上寺史料集』一)
【参考】大島泰信『浄土宗史』(浄全二〇)
【執筆者:𠮷水成正】