一遍聖絵
提供: 新纂浄土宗大辞典
いっぺんひじりえ/一遍聖絵
一二巻。絹本著色。聖戒(一二六一—一三二三)編。絵は法眼円伊。正安元年(一二九九)成立。国宝。清浄光寺(遊行寺)蔵。絵詞ともに四八段。時宗宗祖一遍の伝記絵巻。編者の聖戒は一遍の異母弟といわれ、一遍の弟子であること、一遍没後一〇年目に作成されたことから内容は信頼することができる。絵は実景を写生したものが多いといわれ、当時の人びとの生活、日本各地の風景が生き生きと描写されていて貴重である。京都六条道場・歓喜光寺に伝えられたもので『六条縁起』とも呼ばれている。ただし、全一二巻中、第七巻の絵の部分は東京国立博物館の所蔵である。他にも部分的に散逸した個所がある。模写本には御影堂本(京都新歓喜光寺旧蔵)がある。現在、奈良北村家および前田育徳会蔵、佐渡大願寺にも模写本八巻がある。
【所収】浅山円祥『一遍聖絵・六条縁起』(山喜房仏書林、一九五二)、『定本時宗宗典』下(時宗宗務所、一九七九)、『一遍聖絵』(『日本絵巻物全集』一一、角川書店、一九七九)、『一遍上人絵伝』(『日本絵巻大成』別巻、中央公論社、一九七八)
【参照項目】➡一遍上人絵詞伝
【執筆者:長島尚道】