ブラフマン
提供: 新纂浄土宗大辞典
ブラフマン/Ⓢbrahman
ヴェーダの言葉、ヴェーダ聖典を意味する語であるが、それが転じて言葉の持つ神聖な力を意味する。梵と音写される。ヴェーダ聖典では、その言葉を用いて神々を使役することが説かれるので、言葉を意味するブラフマンはそこに説かれる神々よりも上位の概念と見なされるようになった。ブラフマンを用いて神々を操る存在がバラモン(ⓈⓅbrāhmaṇa、ブラーフマナ)である。ブラフマンは神をも操る概念ゆえに重視され、世界の根本的な原理と理解されるようになった。これが神格化されたのが梵天(Ⓢbrahmā)である。梵天はインドの代表的な神であるが、仏教においては釈尊に説法を勧める梵天勧請を行ない、また経典においても、釈尊の説法を聞く神としてしばしば登場する。梵天は須弥山世界のなかでは色界の初静慮に存在する天とみなされている。
【参考】中村元『ウパニシャッドの思想』(中村元選集[決定版]第九巻、春秋社、一九九〇)
【執筆者:石田一裕】