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熊野信仰

提供: 新纂浄土宗大辞典

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くまのしんこう/熊野信仰

和歌山県にある熊野本宮(田辺市)・新宮(新宮市)・那智(東牟婁ひがしむろ郡)の三社に対する信仰。熊野は死者の霊がこもる場所と考えられ、平安初期は密教修行者の道場であった。平安時代中期の浄土信仰の高まりによって、熊野に参詣すれば極楽往生ができると信じられ、貴族の参詣をうけるようになった。院政期に入ると、本地垂迹思想の深化によって、三社の神々は、本宮の本地が阿弥陀如来、新宮の本地が薬師如来、那智の本地が千手観世音菩薩と信じられ、三社は熊野三所権現と呼ばれるようになった。白河・鳥羽・後白河・後鳥羽上皇らによって、一〇〇回もの熊野御幸ぎょこうが行われた。鎌倉時代には、熊野本宮で一遍が熊野権現より託宣を受けて時宗を開いた。やがて御師おしや先達制度が整備されると全国的に師檀関係が張られ多くの参詣者が訪れるようになった。俗に言う「蟻の熊野詣」である。また、熊野比丘尼による絵解きも語られ、多くの女性参詣者も集めた。


【参考】五来重編『吉野・熊野信仰の研究』(名著出版、一九七五)、宮家準編『熊野信仰』(雄山閣出版、一九九〇)


【執筆者:工藤美和子】