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提供: 新纂浄土宗大辞典

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よく/欲

欲の語が当てられる原語の代表としてⓈrāgaⓈtṛṣṇāⓈchandaⓈkāma等が見られる。それぞれの意味は以下のように大別できる。①妄執、貪りの思い(主にrāga、tṛṣṇāが相当)。貪欲、貪愛とも訳される。②求め、欲求する心のはたらきとしての欲(主にchanda)。アビダルマの分類では、心所に属し、すべての心に応じて生起するとされるが、唯識では願い求める対象に対してのみ起こるとされる。なお、このような心のはたらきには、善・悪・無記三性があり、すべてが否定されるものとはみなされていない。③欲望、感覚器官が起こす五官の欲望、またとくに愛欲、婬欲をいう(多くはkāma)。欲界には、この欲があるのでその名がある。さらに、漢訳の欲に対応するサンスクリットの原語には、ruci(愛喜)、icchā(欲求)、maithuna(愛欲)等が見られる。


【参照項目】➡五欲


【執筆者:南清隆】