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「音階」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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昭和三三年(一九五八)、小泉文夫は『日本伝統音楽の研究』で、日本の[[音階]]の基本を「わらべうた、民謡」に求め、一オクターブではなく、四度の音程で[[音階]]を論じ、四種の基本[[音階]]があることを示した。第一種・民謡[[音階]]、第二種・都節[[音階]]、第三種・律[[音階]]、第四種・琉球[[音階]]の四種のテトラコルド(四度[[音階]])である(図4)。民謡[[音階]]は[[雅楽]]などの外来楽以前からあったもので、もっとも基本的なものと考えられるとしている。
 
昭和三三年(一九五八)、小泉文夫は『日本伝統音楽の研究』で、日本の[[音階]]の基本を「わらべうた、民謡」に求め、一オクターブではなく、四度の音程で[[音階]]を論じ、四種の基本[[音階]]があることを示した。第一種・民謡[[音階]]、第二種・都節[[音階]]、第三種・律[[音階]]、第四種・琉球[[音階]]の四種のテトラコルド(四度[[音階]])である(図4)。民謡[[音階]]は[[雅楽]]などの外来楽以前からあったもので、もっとも基本的なものと考えられるとしている。
  
[[浄土宗]]の[[日常勤行式]]節付の偈文では、[[香偈]]・[[三宝礼]]・[[四奉請]]・[[歎仏偈]]・[[広開偈]]・[[礼竟文]]は上原六四郎の陰旋法(都節)にあてはまり、陰旋法で唱えている。[[六時礼讃]]の七字一句の「[[日中]][[礼讃]]」「[[中夜]][[礼讃]]」の本文は陰旋法、五字一句の「[[初夜]][[礼讃]]」「[[中夜]][[礼讃]]」「[[後夜]][[礼讃]]」「<ruby>[[晨朝]]<rt>じんじょう</rt></ruby>[[礼讃]]」と「[[日没]][[礼讃]]」の本文は陽旋法(田舎節)で唱えており、また各[[礼讃]]の「[[後偈]]」および「[[無常偈]]」は陽旋法で唱えている。[[一唱一礼]]・[[三唱礼]]・[[三帰礼]]、[[盂蘭盆会]]・[[施餓鬼会]]の各偈文は陽旋法で実唱している。
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[[浄土宗]]の[[日常勤行式]]節付の偈文では、[[香偈]]・[[三宝礼]]・[[四奉請]]・[[歎仏偈]]・[[広開偈]]・[[礼竟文]]は上原六四郎の陰旋法(都節)にあてはまり、陰旋法で唱えている。[[六時礼讃]]の七字一句の「[[日中]][[礼讃]]」「[[中夜]][[礼讃]]」の本文は陰旋法、五字一句の「[[初夜]][[礼讃]]」「[[後夜]][[礼讃]]」「<ruby>[[晨朝]]<rt>じんじょう</rt></ruby>[[礼讃]]」と「[[日没]][[礼讃]]」の本文は陽旋法(田舎節)で唱えており、また各[[礼讃]]の「[[後偈]]」および「[[無常偈]]」は陽旋法で唱えている。[[一唱一礼]]・[[三唱礼]]・[[三帰礼]]、[[盂蘭盆会]]・[[施餓鬼会]]の各偈文は陽旋法で実唱している。
 
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【参考】「日本の音階」(『新訂標準音楽辞典』音楽之友社、一九九一)、小泉文夫『合本 日本伝統音楽の研究』(同、二〇〇九)、『日本の音楽〈歴史と理論〉』(国立劇場事業部、一九七四)
 
【参考】「日本の音階」(『新訂標準音楽辞典』音楽之友社、一九九一)、小泉文夫『合本 日本伝統音楽の研究』(同、二〇〇九)、『日本の音楽〈歴史と理論〉』(国立劇場事業部、一九七四)
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2018年9月17日 (月) 00:25時点における最新版

おんかい/音階

音楽において用いられる音の高さの順に配列したもの。英語scale、独語Tonleiter、Skala、仏語gamme、échelle、伊語scala、gamma。音高順に並べられた音は、一定の音程関係をくり返す形で並んでいる。そのくり返しの最少単位を音階という。その単位は八度オクターブとは限らず、四度・五度、またはオクターブ以上のものなどがあり、民族・時代・文化によって多様な種類がある。日本の伝統音楽といわれる声明雅楽は中国古代音階論を基礎としている。中国の音階三分損益法さんぶんそんえきほう(日本では順八逆六じゅんぱちぎゃくろくの法)によって出された五音ごいんきゅうしょうかく)を基にした五音であるが、変徴・変宮を加えた七音しちおん音階であり(図1)、ギリシアのピタゴラス音階と同じである。

五音十二律で六十調、七音と十二律で八十四調となるように膨大な音階が考え出された。日本では平安時代に音階りょりつに分ける作業が行われ呂曲、律曲という音階が成立した(図2)。

中国の宮調を呂曲(呂音階)とし、律曲は宮調の徴を宮に置きかえた音階で、その違いは律曲の角の位置が半音高くなっている。半音の差であるが律曲の方が日本に適したといわれ、多く行われた。明治二八年(一八九五)、上原六四郎が『俗楽旋律考』にて、都節みやこぶし(陰旋法・半音を含む京・大阪・東京等都会の音楽)、田舎いなか節(陽旋法・地方の民謡)の音階があることを発表した(図3)。謡曲・三味線音楽・箏曲・尺八楽俗曲・民謡等の「俗楽」に焦点を合わせた研究であり、その後の音階論の基礎となった。その特徴は都節・田舎節とも旋律が上行の場合に第五音が上がり嬰羽となり、下行のときは、都節では変羽となり、田舎節では正羽となる区別があることを説き、陽旋法は声明雅楽の「律旋法」と同じとした。

昭和三三年(一九五八)、小泉文夫は『日本伝統音楽の研究』で、日本の音階の基本を「わらべうた、民謡」に求め、一オクターブではなく、四度の音程で音階を論じ、四種の基本音階があることを示した。第一種・民謡音階、第二種・都節音階、第三種・律音階、第四種・琉球音階の四種のテトラコルド(四度音階)である(図4)。民謡音階雅楽などの外来楽以前からあったもので、もっとも基本的なものと考えられるとしている。

浄土宗日常勤行式節付の偈文では、香偈三宝礼四奉請歎仏偈広開偈礼竟文は上原六四郎の陰旋法(都節)にあてはまり、陰旋法で唱えている。六時礼讃の七字一句の「日中礼讃」「中夜礼讃」の本文は陰旋法、五字一句の「初夜礼讃」「後夜礼讃」「晨朝じんじょう礼讃」と「日没礼讃」の本文は陽旋法(田舎節)で唱えており、また各礼讃の「後偈」および「無常偈」は陽旋法で唱えている。一唱一礼三唱礼三帰礼盂蘭盆会施餓鬼会の各偈文は陽旋法で実唱している。


【参考】「日本の音階」(『新訂標準音楽辞典』音楽之友社、一九九一)、小泉文夫『合本 日本伝統音楽の研究』(同、二〇〇九)、『日本の音楽〈歴史と理論〉』(国立劇場事業部、一九七四)


【参照項目】➡五音三分損益法十二律呂律


【執筆者:渡辺俊雄】


(図1)
(図2-1)
(図2-2)
(図3)
(図4)