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法苑珠林

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ほうおんじゅりん/法苑珠林

一〇〇巻。唐・道世撰。総章元年(六六八)成立。本書は諸経論より抽出した事項を内容別に編集したもので、仏教の大百科辞典とも、諸経論の内容索引とも言われる書物である。参照された典籍は仏教のみならず、儒家・道教讖緯しんい・雑著など四〇〇種を超える。現在は散逸した『仏本行経』『菩薩本行経』『観仏三昧経』をはじめ『西域誌』『中天竺行記』なども引用するので、歴史地理研究の面でも重要。全体は「劫量篇」より「伝記篇」までの約六四〇篇からなる。浄土に関する内容は、敬仏篇第六の三「弥陀部第四」(第一五巻)に収録され、述意・会名・弁処・能見・業因・引証という六部から成る。会名部には、法性・実報・事浄土・化浄土という四種浄土を示し、弁処部では、『浄土論』『華厳経』『大智度論』を引きながら、理・事の浄土の処所を説明し、最後の引証部では、『大阿弥陀経』などに説かれる往生の実例をあげている。


【所収】正蔵五三、五四


【参考】藤田宏達『原始浄土思想の研究』(岩波書店、一九七〇)


【執筆者:肖越】