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「決疑鈔玄談」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版

けつぎしょうげんだん/決疑鈔玄談

写本、一巻。『選択会本決疑鈔玄談』『会本選択決疑鈔玄談』ともいう。著者不明であるが鸞宿の作と考えられる。寛保元年(一七四一)成立。忍澂が本(『選択集』)末(『決疑鈔』)を会本したものに対して輪郭を述べたもので、鸞宿の『選択集文前綱義』(浄全八)に『決疑鈔』の玄談を加えたもの。大意・釈名・入文解釈の中、大意を示したもの。釈名・入文解釈は、鸞宿選択決疑鈔本末序解』がそれに当たると思われる。大意は、本集(『選択集』)の大意(立教開宗・撰集縁起・所説大猷・広略異帙・信謗帰正の五)と末鈔(『決疑鈔』)の大意(造鈔起因・相承正義・四箇流弁別の三)とがあり、本集の玄談鸞宿の『選択集文前綱義』に説かれる八門の中の初め五項目と述意も文句もほぼ同じである。『決疑鈔』の玄談では末鈔の大意中に三ありといい、①造鈔起因(製作縁起)では『決疑鈔』の製作について簡単に述べ、②相承正義では元祖弟子数百人の中で四流が特に秀でており、その中でも鎮西を正流とする所以を明かし、③四箇流弁別では、西山・九品寺長楽寺鎮西正流の四流について教義の概要を述べた後に、「今、此の集、末文に就いて西山等の書を用うるなかれ、祖意に背くが故に」と断じている。また末尾に、鸞宿の『文前綱義』と同様の「鈔解総目」(鈔解目録)を載録している。大正大学図書館蔵と三康図書館(椎尾文庫)蔵『諸玄談集』所収の写本がある。


【参考】石井教道『選択集の研究 註疏篇』(誠文堂新光社、一九四五)


【執筆者:原口弘之】


写本、七紙。『選択伝弘決疑鈔玄談』ともいう。京都八幡正法寺蔵『玄談』合綴中、この『玄談』の終わりに限り「縁山天神谿沙門弁冏集」とあり、百万遍知恩寺三世法誉弁冏の作と推定される。この鈔は本集(『選択集』)の釈であるから、本集を離れて大意はないとし、文前に四門分別している。一に本集に広略異帙有るを弁じ、二に本集の相伝傍正有るを示し、三に略して鈔主の伝を挙げて造鈔の時処を詳らかにし、四に題を解釈するとあるが、第四の釈はなく、終わりに釈尊馬鳴龍樹以下、聖光良忠に至る各祖の生寂年月を記している。


【参考】石井教道『選択集の研究 註疏篇』(誠文堂新光社、一九四五)


【執筆者:原口弘之】