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楷定念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

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かいじょうねんぶつ/楷定念仏

滋賀県近江八幡市安土町の浄土宗浄厳院に伝わる節をつけた鳴り物入りの念仏。通称「かちどき念仏」。伝承によれば、天正七年(一五七九)織田信長の命により、浄厳院で行われた浄土宗日蓮宗安土問答で、浄土宗側の勝ちと判定され、喜んだ念仏者たちが鉦や太鼓を打ち鳴らして威勢よく念仏を称えたことに始まるという。また浄厳院は信長によって現地に寺域堂宇が整えられたことから、信長の安土開城(完成入城)を祝して、浄厳院で称えた念仏という説もある。「楷定」は『観経疏』の「古今楷定」よりとられた「正しい義の決定」の意味であるが、楷定念仏には真実義の念仏を喜ぶ思いが込められているといえよう。毎年十夜法要のときに行われるが、雲版一、大太鼓一が寺方で、双盤数対が檀家衆で打ち鳴らされ、念仏が道俗ともに唱和される(平成二三年現在)。浄厳院関係寺院檀家衆で鉦講が組織されている。以前は各講で節が一定していなかったが、現在は譜面も整えられ統一されている。


【資料】浄厳院蔵『安土宗論記録』


【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)、木戸敏郎編『声明〔一〕』(『日本音楽叢書』三、音楽之友社、一九九〇)


【参照項目】➡浄厳院


【執筆者:竹内真道】