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四箇法要

提供: 新纂浄土宗大辞典

しかほうよう/四箇法要

声明ばい始段唄)、散華さんげ梵音ぼんのん錫杖しゃくじょうの四つの曲を用いる法要四箇法要は天平勝宝四年(七五二)の東大寺大仏殿開眼供養法要以来、諸宗の大法要のなかで最高の儀式法要とされる。大法要の最初に唱え、それを荘厳するために用いられるもので、四箇法用、あるいは単に法用と記されることもある。『知恩院日鑑』等の記録を見ると、知恩院では毎年一月二五日の御忌当日法要善導の千年忌法要において四箇法要を行っている。御忌の他の日は唄と散華の二箇法要で勤めている。


【参考】龍牙興雲『持宝通覧』下・一七ウ(教報社、一八九三)


【参照項目】➡始段唄散華梵音錫杖


【執筆者:大澤亮我】


増上寺での四箇法要は、恵隆の声明譜(承応二年〔一六五三〕)に基づいている。『声明集』(天和三年〔一六八三〕)は恵隆の伝承した「声明伽陀」などを掲載した。この「声明」は四箇法要で唱える曲目とした。「声明」としては、「唄・散華さんげ梵音錫杖仏名」の譜を掲載している。増上寺での公儀御法事は一〇万部・千部の大法会であり、徳川歴代将軍の新葬・法事のみが四箇法要を厳修した(宇高良哲『増上寺日鑑』二、文化書院、二〇〇二)。明治四四年(一九一一)七〇〇年御忌会中には四箇の曲を唱えたが、一座の中で四箇法要を勤めていない(『増上寺史』五四九、増上寺、一九九九)。昭和五四年(一九七九)と平成九年(一九九七)の御忌では舞楽四箇法要を、平成六年と一〇年に浄土宗総合研究所増上寺祖山流声明縁山声明のそれぞれ二箇法要の合同によって舞楽四箇法要を厳修した(『教化研究』九、一九九八)。


【執筆者:西城宗隆】