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名・句・文

提供: 新纂浄土宗大辞典

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みょう・く・もん/名・句・文

名称と文章と文字のこと。名・句・文はそれぞれ心不相応行法の一つとして数えられ、有部においては実有とされるが、唯識学派等は実有とは認めない。名・句・文は『俱舎論』においてそれぞれ「名は謂わく作想なり」(正蔵二九・二九上)、「句は謂わく章なり」()、「文は謂わく字なり」()といわれる。すなわち名はⓈnāmanの訳で名称を意味し、作想(Ⓢsaṃjñākaraṇa)と定義される。作想とはイメージを作るというほどの意味で、名称は我々にイメージを喚起させることから名は作想とよばれる。句(Ⓢpada)は章(Ⓢvākya)、すなわち文章と定義され、文(Ⓢvyañjana)は字(Ⓢakṣara)、すなわち文字と定義される。ここでいう文字とは「ア」や「イ」といった個々の音を意味し、書かれた文字を意味するのではない。また名称が二つ以上集まると名身とよばれる。例えば「色」はただ名であるが、「色・声」となれば名身とよぶ。同様に、二つ以上の文章・文字をそれぞれ句身・文身とよぶ。


【執筆者:石田一裕】