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「五停心観」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版

ごじょうしんかん/五停心観

修道法の一つ。煩悩とそれに対する対治法のこと。①自他の肉体の不浄なさまを観じて貪欲の心を停止する不浄観、②すべての生きものに慈悲の心を起こして瞋恚を停止する慈悲観、③すべての事象は原因と条件によって生ずるという道理を観じて愚痴の心を停止する縁起観(十二因縁観とも)、④人間の構成要素である十八界の諸法はすべて地水火風空識の和合したもので実体はないと観じて我見・我慢を停止する界分別観(界方便観とも)、⑤呼吸を数えて散乱する心を停止する数息すそく観(持息念、安那般那念とも)の五観のこと。伝統的な修道体系を説く『俱舎論』ではこの中の不浄観と数息観を重視し、また聖者の位に至らない凡夫の段階で修する修道法であると説く。また修道を主題とする禅経類にも同様の五門禅が説かれ、ここでは四番目の界分別観に代わって仏身を念ずる念仏観をあげる。『坐禅三昧経』(正蔵一五・二七一下、二七六上)には貪・瞋・痴・散乱の四惑障を等しくもつ多くの人々、あるいは重罪を犯した人のため、また智顗の『禅波羅蜜次第法門』(正蔵四六・五〇二上)には、心が沈みがちなこと(沈昏闇塞障)、悪意で考える傾向(悪念思惟障)、強迫観念にかられること(境界逼迫障)の三障を除く観法とする。


【参考】大南龍昇「五停心観と五門禅」(関口真大編『仏教の実践原理』山喜房仏書林、一九七七)、小谷信千代「五停心観の成立過程」(『法と行の思想としての仏教』文栄堂、二〇〇〇)


【執筆者:大南龍昇】