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上宮聖徳法王帝説

提供: 新纂浄土宗大辞典

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じょうぐうしょうとくほうおうていせつ/上宮聖徳法王帝説

一巻。撰者未詳。紙背の年紀より承暦二年(一〇七八)以前の書写にかかる現存する最古の聖徳太子の伝記。紙本墨書、巻子。現在知恩院蔵の写本(国宝)が、現存する最古のものとされ、これは幕末に養鸕うがい徹定てつじょうの手に渡り、明治一二年(一八七九)知恩院に寄贈されたもの。内容は五つの部分①聖徳太子を中心とした皇室系譜、②太子の行実・事跡、③法隆寺金堂薬師像後背銘・同釈迦像後背銘・天寿国繡帳と注釈、④太子の事跡の再録・追補(物部守屋討伐、戊午年の仏教伝来と廃仏、仏教興隆、冠位制、十七条憲法、山背大兄王事件、蘇我氏の滅亡)、⑤欽明天皇より推古天皇に至る五天皇の在位年数・崩年・陵名、太子の生没年・墓所などから構成される。各部の成立事情は異なり、系譜は七世紀の古い記述法、他の部分が付加され現在の姿になったのは平安中期。また、裏書に豊浦寺・観勒・鞍作鳥・山田寺・般若寺・蘇我馬子の逝去について記載する法隆寺・太子研究の基本史料である。


【所収】『聖徳太子集』(『日本思想大系』二、岩波書店、一九七五)


【参考】家永三郎『上宮聖徳法王帝説の研究 増訂版』(三省堂、一九七〇)、寺元哲栄編『徹定上人』(総本山知恩院、一九九〇)


【参照項目】➡聖徳太子養鸕徹定


【執筆者:今堀太逸】