「四種利益」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:26時点における最新版
ししゅりやく/四種利益
諸仏が衆生を済度する方法として示した四つの利益。四種饒益ともいう。道綽は『安楽集』第一大門において、①法施の度衆生(口に十二部経を説く)②身業の度衆生(心を繫けて観察する)③神通力の度衆生(神通力で種々に変化する)④名号の度衆生(心を繫けて称念する)という四つの済度法を挙げ、さらに「今時の衆生を計るに、即ち仏、世を去りたまいて後の第四の五百年に当たれり。正しく是れ懺悔し修福し応に仏の名号を称すべき時の者なり」(浄全一・六七四上/正蔵四七・四中)と述べて、第四の名号の度衆生、すなわち懺悔念仏こそが末法世の凡夫が修すべき方法であると主張する。道綽は四種利益の典拠を示していないが、前後の文脈からみて『大集月蔵経』五五(正蔵一三・三六三中~下)の内容を指すと推察される。ちなみに、迦才『浄土論』では、道綽とほぼ同文を引用したうえで典拠を『正法念経』としている(浄全六・六六四下/正蔵四七・一〇一上)。
【執筆者:工藤量導】