選択集述疑
提供: 新纂浄土宗大辞典
せんちゃくしゅうじゅつぎ/選択集述疑
二巻。著者・撰年未詳。本書は『選択集』の内容に対して一〇の疑問を挙げて、諸行本願義の立場から諸行往生・菩提心生因・観仏念仏同体等を主張する。『総系譜』には、長西門下道教の弟子「性仙」に「字は道空…この人、高弁の摧邪輪に附順して選択集を難ず」(浄全一九・一一二)とあることから、本書の著者は道空性仙と推定されている。
【所収】『金沢文庫資料全書』四「浄土篇一」(一九八〇)
【参考】塚本善隆「浄土宗学上の未伝稀覯の鎌倉古鈔本」(浄土学五・六、一九三三)、大橋俊雄「選択集述疑の著者に就て」(『仏教史学』四、一九五〇)、納富常天「『選択集述疑』解題」(『金沢文庫資料全書』四「浄土篇一」、一九八〇)、浅井成海「金沢文庫の浄土教資料—特に『選択集述疑』を中心として—」(『金沢文庫研究』二七三、一九八四)、同「法然の諸行廃捨に対する批判の系譜—『選択集述疑』を中心として—」(『真宗学』七四、一九八六)
【執筆者:米澤実江子】