貞伝上人東域念仏利益伝
提供: 新纂浄土宗大辞典
ていでんしょうにんとういきねんぶつりやくでん/貞伝上人東域念仏利益伝
二巻。宝洲著。東北地方を中心に活躍した今別本覚寺五世の貞伝の教化活動について、その弟子忍秀(同寺六世)が言い伝えたものを、京都鹿ヶ谷の宝洲が書きまとめたもの。上巻は主として念仏の功徳による病気平癒や災難よけなどの霊験譚、下巻は金銅塔婆造立と臨終の様子、信者との関わりなど、その行徳を讃える内容が綴られており、教化の範囲は域内に広く及んだことが記録されている。当時の東北地方における布教状況の一端を知ることのできる貴重な資料である。
【所収】笠原一男編『近世往生伝集成』三(山川出版社、一九八〇)
【参考】金子寛哉「『貞伝上人東域念仏利益伝』について」(『大正大学大学院紀要』六一、一九七五)、圭室文雄「『東域念仏利益伝』について」(笠原一男編『近世往生伝集成』三、山川出版社、一九八〇)
【参照項目】➡貞伝
【執筆者:工藤量導】